練馬区医師会
医師会長の挨拶
皆様におかれましては、健やかな新年をお迎えになられていることとお慶び申し上げ、謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
昨年1月に発表されたCOVID-19は、瞬く間に世界中を席巻し、感染症の収束を見ぬままに、令和3年を迎えることとなりました。
人類はいつの時代も感染症に立ち向かう運命にあり、感染症に戦いを挑んで来た歴史を持っています。感染症の克服は医療や科学の発達と足並みを揃え、平成が終わるころには、結核や市中肺炎、肝炎やHIV、インフルエンザなど、各種の感染症は克服されたかのように感じていました。ネット上で時折散見した聞きなれない他国の感染症の発生情報は、それは地球の裏側で起きたことであり、日本という島国の日常診療では遭遇しないだろうという認識が一般的だったのではないでしょうか。新たな感染症は、一般的な社会活動をしている中で日本社会にも侵入し、私達の目の前に現れ始めました。
誰も答えを持たない中での感染症対策では情報が錯綜しました。しかし、まだ肌寒い春、COVID-19を囲い込み、COVID-19による医療崩壊を防ぐため、日本の指導者たちが日本中に発したメッセージは、社会経済活動を抑制するという痛みを伴いながらも、シンプルかつ実践的であり、地域行政と地区医師会レベルが感染症対策への体制を整えるには一定の時間的猶予を確保することが出来ました。また、新たな生活様式も生まれました。この間に、感染症としての輪郭や特徴も見え始め、医療に携わるすべての職種がとるべき行動指針が共有され始めました。
その中で開設された練馬PCR 検体採取センターは、行政、医師、事務職員、看護師、検査技師、検査機関、産廃業者、警備、全てが一致団結して設立、運営され、練馬区、そして練馬区医師会の底力を感じとることができました。ご尽力いただいた各会員医師、各方面の方々には、心より感謝の意を表したいと存じます。
この10ヶ月で、外来受診者の疾病割合は大きく変化し、受診者数の減少となって表れています。これは予防対策や行動変容が影響していることも考えられ、救急車の要請率を例にとれば、各自治体の前年同期間比で11%から13%減少し、東京都では8万5千件の減少といわれています。今後の医療機関の運営は、コロナ感染症を見据えた運営を余儀なくされ、今まで通りとはいきません。練馬区医師会の収益部門も、残念ですが、減収を予測しています。
がん対策、少子高齢化対策や認知症対策も行政と足並みを揃えて、練馬区の現状に即した対応が必要となり、今冬、医療情勢がどのような局面を迎えるか想像もつきませんが、今、私たちができることに集中し、この新しい感染症の時代に立ち向かっていきたいと思います。
最後になりましたが、区民の皆様及び練馬区医師会会員の今後益々のご健勝を祈念いたしまして、新年のご挨拶とさせていただきます。
令和3年1月1日
練馬区医師会 会長 伊藤大介